よく言われるウソと本当について。
世間では佛教にまつわるウソと本当がいろいろとあります。
そんなウソと本当について色々と紹介していきたいと思います。
①お釈迦さまは僧侶は葬儀をするなと言ったのは本当?
答え:よく言われる「デマ」です。お釈迦さまは『大般涅槃経』などの経典の中でそうおっしゃられたと言うのは日本語訳への「誤訳」が元になったデマでした。
お釈迦さまが言われたのは弟子のアーナンダがまだ修行が未完成であるので、修行を優先させなさい、という意味合いの言葉でした。
世界中には多くの佛教宗派がありますが、まったく葬儀に関わらない宗派の方が珍しいです。
また、お釈迦さまも実の父のシュッドーダナ王の葬儀に関わられていますし、弟子のシャーリプトラの遺骨のご供養もされています。
むしろ佛教にとって「死」という最重要事項に深く関わる葬儀をしない、というのはありえないことでもあります。
②お釈迦さまの説かれた佛教こそが本物であり日本の佛教はニセモノである
答え:これもよく言われる「デマ」の一つです。佛教はどう成り立つのか?それは「三宝護持」です。三宝とは、佛・法・僧です。佛とは佛様です。法とは佛様の教えです。僧とは僧侶と檀信徒とその集まり全てを含む意味があります。それらを敬い尊ぶことが佛教です。
南伝・北伝・チベットと世界にはさまざまなルートで伝わった佛教があります。
どれも基本は「三宝護持」となっています。ですのでお互いに佛教と認め合っています。
そして大事な点は、お釈迦さまの教えは師資相承の教え、つまり師僧から弟子へと伝わる原理原則があります。ですので全ての僧侶の師僧を辿れば必ずお釈迦さまにつながっています。
それを血脈とか法脈と言います。
このつながりがあるからこそ、日本への佛教が伝わり佛教が広まったのです。
それはインドから中国・朝鮮へ伝わり、日本へとたどり着いたという歴史的事実が証明しています。
③お釈迦さまの佛教とは、宗教ではない哲学に近いものである
答え:これも有名な「デマ」の一つです。佛教はお釈迦さまが王子という身分を捨て出家されて目覚めてたどり着かれた「真理」を信じ求める宗教です。
そもそも宗教という言葉自体が佛教より後に作られた学術用語ですので、宗教であるかどうかという意味は実はそこまでないものでもあります。
④日本に伝わる大乗経典は「大乗非仏説」のようにニセモノの経典である。
答え:これは江戸時代からある「大乗非仏説論争」に基づいたデマです。
大乗経典もサンスクリット語経典やパーリ語経典も、いずれも成立時期はお釈迦さまが入滅されてから数百年後に文章化され残されるようになったものです。お釈迦さまが語られた言葉そのものが、お釈迦さまの時代の言葉そのもので残ってはいません。
お釈迦さまは何語を話されていたのか?古代マガダ語と言われていますが、2600年ほど昔の事ですので、実はよくわかっていません。
古い時代に成立したと言われるのが「スッタ・ニパータ」「ダンマパダ」と言われる「阿含経典」「パーリ語経典」ですが、その全ての言葉がお釈迦さまの言葉そのものであるとは考えれていません。
経典はお釈迦さまのお弟子が集まって集めたお釈迦さまの言葉を基につくられています。
ですので全ての経典はお弟子の方々が伝え聴いたものからつくられているのです。
それは時代を経るごとに編纂し直され、やがて文字として残されるようになりました。
それが現代まで伝わる経典なのです。
ですので「大乗非仏説論争」そのものが歴史的知識のない江戸時代のもので、実は現代ではそこまで意味のあるものではなくなっています。
⑤佛教は偶像崇拝や遺骨崇拝をしない
答え:これも「デマ」の一つです。
お釈迦さまは遺言でご自身の舎利骨(遺骨)の分配の指示などをされています。また残された檀信徒はその舎利骨を守り、やがてストゥーパという佛塔を建立し舎利骨を守られました。それが佛教における信仰の一つなのです。佛像の起原もそのストゥーパに掘られたモチーフであります。その信仰が日本へも伝わり、佛教式のお墓の原形となりました。